L,C 直列回路 / 2L,C 直列回路 / L,C,2L,C 直列回路の共振周波数の関係
今回も電験三種向けのYouTube動画からの問題です。
合成した $L_{total}=3L$, $C_{total}=C/2$ から直接 $\omega_{ab}$ を求めても厳密解は得られる。ここでは別のアプローチとして、直列だからインピーダンス(リアクタンス)は単純に加算できるという点に着目し、計算せずに大小関係だけを導く方法を紹介する。
結論
$$f_b < f_{ab} < f_a$$
L,C,2L,C の直列回路の共振周波数は、単独の L,C 回路と 2L,C 回路の共振周波数の"あいだ"に必ず入る。
回路構成
- 回路 a: L と C が直列
- 回路 b: 2L と C が直列
- 回路 ab: 回路a と 回路b をそのまま直列につないだもの(L, C, 2L, C の4素子直列)
記号の定義
$$X_a(\omega) = \omega L - \frac{1}{\omega C} \quad \text{(L,C 直列)}$$
$$X_b(\omega) = 2\omega L - \frac{1}{\omega C} \quad \text{(2L,C 直列)}$$
各単独回路の共振角周波数:
$$\omega_a = \frac{1}{\sqrt{LC}}, \qquad \omega_b = \frac{1}{\sqrt{2LC}} = \frac{\omega_a}{\sqrt2}$$
インダクタンスが大きいほど共振周波数は下がるため、常に $\omega_b < \omega_a$。
L,C,2L,C 直列回路への拡張
4素子の直列全体は、前半 (L,C) と後半 (2L,C) を直列に繋いだものなので、リアクタンスは単純な和になる。
$$X_{ab}(\omega) = X_a(\omega) + X_b(\omega)$$
計算せずに大小関係を求める方法
直接 $\omega_{ab}$ を計算しなくても、次の2つの事実だけで $\omega_b < \omega_{ab} < \omega_a$ が確定する。
① $X_a(\omega)$, $X_b(\omega)$ はともに $\omega$ の単調増加関数(微分不要)
$$X_a(\omega) = \underbrace{\omega L}_{\omega \text{ に比例}} + \underbrace{\left(-\frac{1}{\omega C}\right)}_{\omega \text{ に反比例したものの符号反転}}$$
- $\omega L$ は $\omega$ に比例 → 明らかに単調増加
- $\dfrac{1}{\omega C}$ は $\omega$ に反比例 → 単調減少。その符号を反転させた $-\dfrac{1}{\omega C}$ は単調増加
単調増加 + 単調増加 = 単調増加なので $X_a$ は単調増加。$X_b=2\omega L-\dfrac{1}{\omega C}$ も同じ理屈で単調増加。L, C の具体的な値によらず、直列 LC 回路なら必ず成り立つ性質であり、単調増加関数どうしの和 $X_{ab}$ もまた単調増加。
② 境界点での符号だけを見る
- $\omega = \omega_b$ では $X_b = 0$。このとき $\omega_b < \omega_a$ なので $X_a$ はまだ容量性側 → $X_a(\omega_b) < 0$ → 合計 $X_{ab}$ は負
- $\omega = \omega_a$ では $X_a = 0$。このとき $\omega_a > \omega_b$ なので $X_b$ はもう誘導性側 → $X_b(\omega_a) > 0$ → 合計 $X_{ab}$ は正
単調増加な連続関数が $\omega_b$ で負、$\omega_a$ で正なら、その間にただ一つのゼロ点(共振点)が存在するしかない。
$$\therefore \omega_b < \omega_{ab} < \omega_a$$
図解
$X_a$(青)と $X_b$(コーラル)の曲線をプロットしたもの。
- 横軸上の3点 $\omega_b \to \omega_{ab} \to \omega_a$ の並び順が、そのまま大小関係 $\omega_b < \omega_{ab} < \omega_a$ を表している。
- $\omega_{ab}$ では、0からの距離が等しく符号が逆($|X_a| = |X_b|$、すなわち $X_a = -X_b$)になっている点を矢印で示した。これが $X_{ab} = X_a + X_b = 0$、つまり合成回路の共振点。
- $\omega_b$ の時点ではまだ $X_a$ が0を下回っており(容量性が残っている)、$\omega_a$ の時点では $X_b$ がすでに0を超えている(誘導性になっている)。両者がちょうど打ち消し合う点は、この2点に挟まれた場所にしかあり得ない。
直感的なイメージ
- 2L,C 部分は単独では $\omega_b$ で共振したいが、L,C 部分がまだ容量性($X_a<0 li="">
- L,C 部分は単独では $\omega_a$ で共振したいが、2L,C 部分がすでに誘導性($X_b>0$)になっていて全体では打ち消されない
- 両者が"歩み寄る"妥協点が $\omega_{ab}$ であり、必ず両者の間に落ち着く 0>
参考(厳密解)
全体は $L_{total}=3L$, $C_{total}=C/2$ の単一直列共振と等価なので
$$\omega_{ab} = \frac{1}{\sqrt{3L \cdot C/2}} = \sqrt{\frac{2}{3}}\,\omega_a \approx 0.816\,\omega_a$$
$\omega_b = \omega_a/\sqrt2 \approx 0.707\,\omega_a$ よりは $\omega_a$ 寄りであることが確認できる。